自衛隊で何を学ぶか

元脱サラ自衛官の気づき

自衛隊と酒

みなさんお酒は飲みますか?

 

自衛官はたくさんお酒を飲みますよ〜(笑)

 

 

とにかく飲む!

自衛官はもともと学生時代に運動部で活躍していた人が多いので、宴会の雰囲気はかなり体育会系です。実際は部隊によりけりだと思いますが、若い隊員は余興・一発芸を求められることも多いと思います。また、男性ばかりの職場ですので、必然的に会話の内容も下ネタになりがちです。民間では絶対ありえないなぁと内心思っていましたが、女性自衛官もこの辺りは寛容な印象を受けました。ただその一方で、女性を特定の場所に指定する(例えばお偉いさんの隣)などはセクハラとみなされるため、そのようなことは全くありませんでした。

 

ちなみにどんな時に宴会が行われるかというと、異動や新隊員の部隊配置といった定期的なものはもちろん、演習場での訓練や他駐屯地への支援など、泊りがけでどこかに出向いた時が多いです。そして宴会の単位は中隊(企業でいう部)、小隊(同じく課)がほとんどで、普通の宴会は街中の居酒屋で行われます。

 

 

演習場での宴会は、、、

下っ端隊員として大変なのは、演習場での宴会です。居酒屋と違って、定員さんがいませんから(笑)

 

場所のセッティングから食材の準備、宴会中は料理を提供しつつ盛り上げ役にもならないといけませんので、下っ端にとってはまさに目の回る忙しさです。最初は初めてなので色々と圧倒されますが、慣れてくれば開放的な雰囲気でリーズナブルにお酒を楽しめます。ただ、周囲に自衛官しかいない環境ですので、宴会の「激しさ」が増すことだけには注意が必要です(笑)

 

 

うまい酒を飲む為に、訓練はある??

みなさんは何歳ごろからお酒が美味しいと感じましたか?

 

私は20歳になってからビールを飲み始めましたが、心の底から「うまい!」と思うようになったのは、会社で働き始めてからです。発達が一番遅い味覚が苦味だからなのか、それとも仕事を通して社会の苦労を知ったからなのかは定かではありません。おそらくその両方でしょう。私の個人的な感想ですが、会社員時代よりも自衛隊時代の方が酒はうまかったと思います。

 

なぜかと考えたら、自衛隊の職務は組織(小さなチーム)で行い、しかも演習場での訓練は数日から1週間程度を同じ天幕(テントのこと)で過ごす為、お互いの距離が近いからだ、という結論に至りました。確かに会社でもチームで仕事をしますが、自衛隊ほどコミュニケーションを密にし、共同で作業をする職種もないと思います(私の経験上)。それに天幕という密室に長時間いれば、お互いの仲間意識が強くなってくるものです。

 

自衛隊の訓練はとても厳しいものでした。会社員時代も結構忙しい方だったと自負していますが、体力的にはやはり比べ物になりません。それでもやってこれたのは「状況終了」を聞いた時の達成感と、その後に待つうまい酒を味わいたかったからなのかもしれません。

 

 

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理不尽な反省

自衛隊の教育について少しでも話を聞いたことがある人は、必ずこんな質問をします。

 

 

「やっぱ、腕立てとかやらされんの?」

 

 

率直に言ってしまえば、答えはイエスです。

 

特に前期教育と呼ばれる入隊後3ヶ月は、腕立てをやらない日の方が少ないでしょう。回数は反省の度合いによって異なりますが、時として理不尽としか言いようのない回数・時間をやらされます。多くの新隊員、そしてこれを読んでいる方は、これらの行為を「本当にそこまでやる必要があるのか」という疑問を抱くと思います。私もそうでした。大学時代に少し齧ったスポーツ科学の理論に照らし合わせても、この腕立て伏せの回数・ペースは筋力の発達に効果的ではない、と。

 

しかし自衛隊の職務の特殊さを知れば知るほど、これらの理不尽な反省がこの教育期間中に必要であることがわかってきたのです。

 

 

自衛隊が実働するときは、常に理不尽な環境である

みなさんが自衛隊をテレビで見るとき、日本はどんな時ですか?

 

記憶に新しいのは2015年9月に発生した関東・東北豪雨災害。この時、茨城県常総市では鬼怒川堤防が決壊し、自衛隊のヘリコプターが救助に駆けつけました。また、忘れてはならない2011年の3.11。東日本を襲ったこの未曾有の大災害でも多くの自衛官が人命救助、瓦礫の撤去などの作業にあたりました。

 

 

お分かりの通り自衛隊が実働する時、多くは地震や土砂災害などでその場所にいる人の命が危ぶまれているときです。また、自衛隊の一番の任務は、我が国の平和と独立を守ることです。簡単に言ってしまえば戦争が起こったときですが、これは自らの命すら危ぶまれる、究極に理不尽な環境と言えるでしょう。

 

 

何のために、腕立て伏せをやるのか

今でも教育期間中の厳しい反省を思い出すときがあります。暗闇の中で整列させられ、教官の号令のもと一斉に腕立て伏せの姿勢をとる新隊員。通常の社会ではまず見られない、異様な光景だと思います。そして教官からのこんな激しい罵声が響き渡るのです。

 

 

「根性ねぇな!」

「出来ねぇなら辞めろ!!」

 

しかし、こんな言葉もありました。

 

「そんなんで人救えんのか!?」

「お前がやんなきゃいけねぇんだよ!!」

「上げろぉ!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

気づいたら私は腕立て伏せをしながら泣いていました。決してキツイからではありません。ただ、教官たちが鬼のような形相で叫び、何かを伝えようとしていたのを感じたからです。東北地方に所在するこの駐屯地も、先の3.11では多くの隊員が災害派遣に向かったと聞きました。直接確認したわけではありませんが、教官の中にもいたはずです。それを思うと、こんな腕立て伏せごときでへばってたまるか、と私は奮い立ちました。

 

 

地震や自然災害がそうであるように、この腕立て伏せの反省はいつ、どこで起こるか全く予想できませんでした。それはすなわち、いつでも物心両面の準備を怠るなという教官からの無言メッセージだったと理解しています。この腕立て伏せは筋力の発達には決して効果的とは言えません。しかし、私たちがこの教育期間で学ばなければならことは、何よりも自衛官としての心構えです。その為に、私はこの理不尽な反省が絶対に必要なものだと思うのです。

 

 

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国旗に敬礼するということ

いきなりですが、皆さんは国旗に対して敬礼したことはありますか?

 

学校の正式な行事やスポーツの国際試合などでは、国旗の掲揚や国歌斉唱時に起立をし、脱帽するかと思いますが、国旗に対して敬礼をするということはまずないと思います。事実、私も自衛隊に入るまで、いわゆる「敬礼」はしたことがありませんでした。

 

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引用元:陸上自衛隊Flickr

 

 

敬礼といえば軍隊の象徴。私も自衛隊に入って以降多くの友人に「敬礼してよ!」と言われました。新隊員として入隊後、毎日何十回と行った敬礼ですが、改めてその意義について考えてみたいと思います。

 

敬礼とは相手に敬意を表すこと 

wikipediaを開くまでもないですが、敬礼とは読んで字のごとく、相手を敬う礼(=挨拶)のことです。敬礼と聞いてイメージするのは、上の写真のように右手を斜めに振り上げるものだと思います。これは挙手の敬礼といい、帽子をかぶっている時に行います。自衛隊では自分より階級が上の人に会った時には必ず敬礼をします。そして敬礼を受けたものは答礼をすることになっています。(動作は全く同じです)

 

敬礼は基本的には下位の者が上位のもに対して行うので、私が自衛隊にいた2年間はほとんど自分から敬礼していました。ちなみに後輩が入ってくると、そこで初めて相手から敬礼されることを経験するので、ちょっとぎこちない答礼になったりします。

 

敬礼は上下関係の象徴

先ほど敬礼は相手に敬意を表すことだと書きました。もちろんその通りなのですが、私は自衛隊生活を通して、敬礼とは上下関係を明らかにするものの象徴だと思いました。自衛隊は階級社会です。どんなに能力があり優秀であっても、その時の階級に応じた職責しか与えられませんし、下位の者は上位の者の命令に従います。(上官の命令に服従する義務)そしてその階級は制服や迷彩服を着ている時には容易に認識できるものですが、常日頃から上位者に対し敬礼を行うことで、上下関係の意識をさらに強めているのだと思いました。

 

 

 

0815と1700は国旗に対する敬礼

ここで本題である国旗に対する敬礼について考えていきたいと思います。

 

陸上自衛隊の駐屯地では、上記の時間にそれぞれ国旗の掲揚・降下が行われます。駐屯地中にラッパが響き渡るので、作業中であってもすぐに気付きます。そして国旗が見える場合には挙手の敬礼、見えない場合は国旗がある方向に正対し、直立不動の姿勢をとります。入隊してすぐの頃、教育隊長の号令のもとで国旗に正対し、敬礼をした私はこんなことを考えていました。

 

 

「本当に自衛隊に入ったんだなぁ」

 

 

心地よいラッパのメロディに合わせて悠然とはためく日の丸。私と同様、ほとんどすべての新隊員が、この時初めて国旗に敬礼をしたと思います。そして、それぞれ思うところがあったでしょう。ちなみに入隊して数週間もすると、この国旗に対する敬礼も日常の一部に取り込まれ、特別な感情は抱かなくなりました。そしてこの頃から私は、「国旗に対する敬礼」に様々な考えを巡らせるようになりました。

 

 例えばこのような「儀式」はいつ頃から行われていたのか?

 

日本をはじめ、多くの国は1つの国民に対して1つの国家という国民国家の統治体制をとっています。その歴史は、思想家の内田樹氏によると1648年のウェストファリア条約に遡ると言います。(国民国家とグローバル資本主義について (内田樹の研究室)

それと同時期に船舶の所属を示す商船旗が用いられ、軍艦旗、国旗へと変化していったようです。つまり自衛隊のような国民国家の軍事組織が国家の象徴である国旗に敬礼をするようになったのは、どう長く見積もっても400年にも満たない歴史しかないのです。

 

毎日当たり前のように行っていた国旗への敬礼も、人類の歴史を20万年とすると、つい最近始まったことなんだと今になって実感します。今後のグローバル化により、もしかしたら現在のような国民国家という体制は終わりを迎えるかもしれません。その時が今よりも平和であることを願い、今、私はこうして自身の過去を振り返っています。 

 

 

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国について考える / 自己紹介

皆さんは自衛隊と聞いてどのような印象を受けますか?

 

災害派遣、憲法9条、戦争、体育会系、集団的自衛権、モテそう、、、?

 

10人に聞けば10人それぞれが自衛隊という言葉から様々な事柄を思い浮かべるでしょう。そして、この記事を読んでいる方の中には現職の自衛官もいるでしょうし、その家族、友人、恋人、その一方で自分の周りには自衛官なんていないよ、という方もいるはずです。

 

今回のテーマは「国について考える」ですので、自衛隊を「国家公務員」という切り口から考えてみたいと思います。

 

自衛官は特別職国家公務員である

正直に言うと、私は自衛隊に入るまで自衛官が公務員であることを知りませんでした。

というのも、私は自衛隊に入る前までは都内の企業でフツーのサラリーマンをしており、それまでの人生で自衛隊に入るという選択肢は一度も考えた事がなかったからです。そして何より、家族・親戚を含め、私の周りに自衛官及び自衛隊経験者が全くいなかったことが、自衛隊という存在を私から遠ざけていたように思います。(強いて言えば、高校時代の友人のお兄さんがむかし航空自衛隊にいた、というの聞いたくらいです)

 

考えてみれば国防の最前線に立つ自衛官が地方公務員であるはずもなく、やはりその身分は「国家」公務員ということになるでしょう。また、多くの方が疑問に思っている「特別職」という3文字。これは、自衛官は自衛隊法に基づいて職務を遂行する為であり、wikipediaを見ると他には内閣総理大臣や国務大臣、裁判官などが特別職国家公務員にあたるようです。

 

なぜ民間企業から自衛隊に入ったか

ここからが本題です。

今まで自衛隊という存在を全くと言っていいほど意識していなかった人間が、なぜ会社を辞めてまで入隊したのか。近年、若者たちの間に見受けられる右傾化の表れでしょうか?

 

いいえ、違います。

 その答えは、エントリータイトルにある通り、「国について考えたかった」からです。

 

おいおい、それを右傾化というんじゃないかと言われそうですが、むしろ私はその正反対の「海外大好き人間」です。

 

どれくらい海外が好きかというと、大学時代はバイト代のほとんどを海外旅行に費やし、就職活動では20代で海外赴任ができそうな中堅メーカーを中心に受けたほどです。ちなみに入社した会社では運良く1年目から海外顧客を担当することができ、2年目には中国への出張も叶いました。しかし皮肉にも、この中国出張を境にはじめて「会社を辞めたい」と思うようになったのです。(この話は本題とズレますのでまた別の機会に)

 

そんなこんなでサラリーマンを続けていましたが、ある冬の日、決定的なことがありました。私が担当していた顧客が来日した際、1人のエンジニアから秋葉原を案内して欲しいとこっそり依頼されたのです。大学4年次に秋葉原のコンビニでバイトをしていたことに加え、かつてAKB48のファンであった私はこの突然の依頼に心躍らせました。

 

案内当日は自分が持ちうる限りの秋葉原ネタを話し、ディープなヲタクが集う店に入り、しまいには一緒に人生初のメイドカフェにも行きました。

 

そんな時です。

可愛らしいメイド服に身を包み、スポットライトに照らされた少女が私の目の前に現れたのです。

 

「あぁ、こんなに楽しそうに、お金を稼いでいる人もいるんだなぁ。」

 

今思えば実際のところ本当にその少女が楽しんでいたのかはわかりません。しかし、当時の私の目には、その少女が天職を全うしているようにしか見えなかったのです。

それくらい彼女は輝いていました。

 

 ステージ上の彼女を目の前にすると、本当に今の自分のままでいいのかという疑問がだんだんと大きくなってきました。当時の仕事・生活にはそこそこ満足していましたが、とにかく何かしらの行動を起こす必要がある、と思うようになったのです。

 

 

この国についてもっと知りたい

 

そもそも私たちは日本という国についてどれくらい知っているでしょうか?

 

小学校では社会という科目の中で日本地理や日本史についての初歩的な知識を、中学校ではそれに加えて公民という教科書を使って政治や選挙について学びます。そして高校では日本史は選択制となっていますので、日本史の知識は中学校で習ったきり、という方もいると思います。

 

私は大学受験で日本史を使用したため、高2・3と連続して履修しました。大学で学んだ経営学でも戦後日本の経済発展、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた日本的経営、そしてバブル崩壊からの失われた20年と、近現代史のキーワードには常に触れてきました。また先述した通り私は海外が大好きで日本の悪いところを挙げ連ねたネット記事などもたくさん読んでいましたので、割と日本について走っている方なのでは、と思っていました。

 

しかし経済面だけでなく、日本の文化や伝統、思想や生活様式に至るまで、もっと本質的な意味でこの国のことを知りたい。いずれは海外に行きたいけど、今の仕事や今後の人生を考える上で、ここで一度立ち止まり、日本という国を、そして自分自身を見つめ直してみる必要があるのではないか。そういう考えに至ったのです。

 

 

そんな時に頭をよぎったのが、自衛隊という組織でした。

 

自衛隊はローカルでありグローバル

 自衛隊に入ることに抵抗がなかったのかと言われれば、それはもちろんありました。

当時は集団的自衛権という言葉がメディアを騒がせ、自衛隊という組織の今後に注目が集まっていたからです。自衛隊について色々と調べていくうちに任期制自衛官という制度を知った私は、1任期=2年間という限られた期間だけ自衛隊に入ることにしました。

 

入隊前、メディアでは集団的自衛権の行使容認(2014年7月閣議決定)やそれに伴う法律(後の平和安全法制:2015年9月成立)の整備が進められると報道されていましたが、今となって思えばまさかここまで大きく世論を騒がせるとは思いませんでした。しかし日本の安全保障に関わるこの問題を、1人の当事者として考えることができたのは、今後の自分の人生に大きなプラスとなると確信しています。何より安全保障と自衛隊に関わる報道は、日本国内だけで完結する話ではなく、常に米国をはじめとした諸外国との関係がセットです。よって、これらの報道に敏感であることはグローバルな視点で物事を考えることに繋がったです。

 

 

話を入隊時に戻しますと、私が最初に受けた教育隊は東北地方にある某駐屯地でした。就職活動時には、地方へ行くくらいなら海外の方がいいと思っていましたが、実際に住んでみると地方の良さというものが分かった気がしました。意外なことに同期のほとんどすべての人は地元出身者であり、任期制自衛官(教育期間中は自衛官候補生)として採用された者の多くは高校を卒業したばかりでした。

 

出身、年齢、育った環境。共通点を見つける方が難しいくらいでしたが、彼らの多くは私と同じく学生時代に運動部で活躍した体育会系であり、訓練や休日を共に過ごすことでその距離はあっという間に縮まりました。

 

しかし私がどうしても理解できなかったのが彼らの希望勤務地です。自衛隊は国家公務員であるため、全国転勤の可能性があります。高校を卒業したてで遊びたい盛りの同期は東北最大の都市・仙台を希望するかと思いきや、ほとんどが教育隊と同じ駐屯地、すなわち彼らの地元に残ることを希望したのです。何かの本で若者の地元志向が高まっている(いわゆるマイルドヤンキー化)と書いてありましたが、まさにその通りだと思いました。

 

*確かに自衛隊は全国転勤ですが、基本的には最初に配属された部隊(原隊)を基準に定年までの勤務が考慮されるようです。実際、部隊の先輩の多くは地元に家を購入しており、転勤になった際には単身赴任で対応し、それが終わればまた地元へ戻って来るというパターンが多かったです。数年に一度転勤がある幹部を除けば、実態は地方公務員のような感覚なのかもしれません。(陸上自衛隊の場合)

 

 

国とは何か?

 このブログを通して私が目指すところは、自衛隊について考えるきっかけを作ることです。書くのは既に自衛隊HPや書籍などで公になっていることであり、そこから私たちは何を学ぶことができるか、ということに焦点を当てていきたいと思います。

 

 

まずは自衛官について。

 

私は高校・大学と何の迷いもなく進学しました。そして当たり前のようにサラリーマンになりましたが、私の同期である自衛官候補生と一般曹候補生は高校を卒業してすぐの人が大半(感覚的には6割くらい)でした。専門学校や短大を経て入隊した人が3割程度、大卒もしくは社会人経験がある人は1割ほどでした。(ちなみに大学と民間企業を経て入隊した人は、部隊も含め数えるほどしかいませんでした)

 

この自衛官候補生の中で曹にならない人は主に自衛隊の援護のもと、サービス業をはじめ、輸送業や製造業(生産)、建設業に転職する人が多いようです。(参考:退職自衛官雇用ガイド:退職自衛官雇用のメリット

また幹部は防衛大学校卒と一般大学卒が半々のようで、国家公務員でもあるため、基本的には定年まで勤め上げます。

 

つまり、曹になるにしろ幹部になるにしろ、自衛隊にずっといる人は基本的に定年まで勤め上げるため外部との接触はほとんどなく、一方で任期満了退職した若年隊員も上記のような業界・職種に転職する人が多いので、私の周りに元自衛官の人が全くいなかったことも頷けます。

 

 

次に日本という国について。 今、日本を取り巻く環境は大きく変容しているように思えます。そして国内の政治も、憲法改正が現実味を帯びてくるなど、大きな転換点を迎えていることは確かです。その中心的なテーマが安全保障であり自衛隊の在り方であるのに対し、この種の問題に関する情報があまりに少なく、時として酷く偏っているのが残念でなりません。最近でこそ、元自衛官である藤原さとし氏の『ライジングサン』という漫画が登場し、かなりリアルな自衛官候補生過程の様子が描かれていますが、まだまだ多くの人にとって自衛隊はどこか遠い世界の話だと思われているのかもしれません。

 

 

 第二次世界大戦が終わり、長く平和が続いていた西欧諸国(ドイツ、フランスなど)ではつい最近まで徴兵制度が敷かれていました。その一つの理由が、国民に軍隊のことを理解してもらうためである、という話を聞いたことがあります。人間はよく分からないものに不安を抱くものです。しかしほとんどのすべての男性が兵役を経験することで、彼ら自身はもちろん、その家族、友人、恋人も軍隊について知ることになります。

 

仮に現段階で直接的な脅威がなくとも、ある程度の年齢に達したら国のことや安全保障について考える。北欧諸国やスイスで今なお徴兵制が敷かれているのは、過去の経験や自国が置かれている立場に真剣に向き合っているからなのではないでしょうか。

 

 

最後に

私は2年間という短い期間でしたが、自衛隊に入って本当に良かったと思います。それは体力面や精神面で鍛えられたことはもちろんですが、より大きな視点と当事者意識を持って物事を考えられるようになったからです。実際に戦争になったらどうなるのか、自衛隊は国防軍にするべきなのか、中東への介入はするべきなのか。これらはサラリーマン時代の私では到底考えなかった事柄です。

 

そしてこの2年間、今の日本が平和であることをこんなにありがたく思ったことはありませんでした。このブログを通して私の思うところに少しでも共感してくれる方がいれば幸いです。

 

 

上手くまとまりませんでしたが、ここまで読んで下さいましてありがとうございます。

 

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