自衛隊で何を学ぶか

元脱サラ自衛官の気づき

自衛隊の飯②野外訓練編

 だいぶ時間が空いてしまいましたが、前回に引き続き、自衛隊の飯事情について記していきます。

 

 

戦闘糧食とは

 陸上自衛隊では、野外(駐屯地以外)で訓練が行われる際には、戦闘糧食と呼ばれる専用の食事が支給されます。いわゆるミリ飯なのですが、これにはⅠ型(缶タイプ)とⅡ型(レトルトタイプ)があり、どちらのタイプも食べるためにはボイル(Ⅱ型であれば専用の加熱剤でも可)する必要があります。しかし食べやすさや味、ゴミの処理を考えると、Ⅱ型の方が総じて優れていることは疑いようがありません。訓練の時にはこの戦闘糧食が人x食数分支給され、空いた時間に素早く食するのです。

 

訓練時の飯

 そうはいっても一人ひとりが戦闘糧食をボイル・加熱したりするのでは効率が悪すぎます。一部の部隊を除き、軍隊は一般に組織で作戦を遂行するものなので、訓練時にはある程度まとまった人数で行動します。そこで組織の最小単位(分隊・班・組など)で戦闘糧食の数を取りまとめ、管理するのが一般的です。私も新隊員の頃は戦闘糧食の数や種類を掌握し、訓練初日分のボイルを食堂に依頼していました。訓練は何と言っても準備が全てです。それは飯についても全く同様で、数が足りない、ボイルされてない、というのは部隊にとって致命的です。また、「食い物の恨みは恐ろしい」という言葉がある通り、訓練における飯関連のミスは今後の人間関係にも影響を及ぼしかねません。

 

 そんな戦闘糧食ですが、食べ方に各人の個性が出ていて面白いものがありました。私の部隊には入隊以来、あらゆる教育課程で表彰を受けてきた優秀な陸曹がいました。私とはMOS(Military Occupational Speciality=特技)が違ったのですが、たまたま訓練で行動を共にする機会があり、昼食を一緒に摂ることになりました。私とその先輩はほぼ同時に食事を摂り始めたのですが、2~3分ほど経つと先輩は徐ろに立ち上がり、タバコを吸いに行くと言って私から離れていきました。私はまさかと思って先輩がいた場所を見ると、そこには綺麗に完食された戦闘糧食Ⅱ型が置いてあったのです。私はこの時、日本電産株式会社の永守社長のある言葉を思い出したのです。

 

飯の速い奴は、仕事も速い。

 

 

 圧倒的に仕事ができる先輩の圧倒的な早食いを目の当たりにした私は、いつしかこの言葉を本気で信じるようになりました。

 

 

肝心なお味は

 わずか2年間という短い期間でしたが、私も数多くの戦闘糧食を食してきました。種類は20ほどで、いずれもしっかりとした味付けだったと記憶しています。一般の人が食べても、温かい状態であれば多くの人が美味しいと感じるはずでしょう。ただし、あくまで訓練中の喫食を想定しているので、カロリーや塩分は通常より高めかもしれません。

 

 関連リンク: 特集:「ミリメシ」(戦闘糧食)シリーズ5|東北方面隊Web

 

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